「30A5 超三結シングルアンプ」の版間の差分

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回路方式 - 超三極管結合V1
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回路方式 - 超三極管結合V1<br />
初段 - 2SC2420 (東芝)
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初段 - 2SC2420 (東芝)<br />
帰還管 - 12AX7 (JJ)
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出力管 - 30A5 (東芝)
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出力管 - 30A5 (東芝)<br />
B電圧 約130VDC
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B電圧 約130VDC<br />
実用出力 0.5W + 0.5W (8Ω THD 1.5%)
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実用出力 0.5W + 0.5W (8Ω THD 1.5%)<br />
周波数特性 20~20KHz (-1.0dB)
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周波数特性 20~20KHz (-1.0dB)<br />
  
 
出力はたったの0.5Wですが、能率86dBのスピーカー(6Ω)で8畳間で十分に聞くことができます。
 
出力はたったの0.5Wですが、能率86dBのスピーカー(6Ω)で8畳間で十分に聞くことができます。

2008年9月6日 (土) 16:25時点における最新版

30A5超三結

トランスレスラジオ用5極出力管を使った超三結V1パワーアンプです。
ヤフオクで落札した真空管ジャンクセットに結構混じっていたので製作。他に35C5、50C5もヒーター電圧を調整すれば使えます。


スペック

回路方式 - 超三極管結合V1
初段 - 2SC2420 (東芝)
帰還管 - 12AX7 (JJ)
出力管 - 30A5 (東芝)
B電圧 約130VDC
実用出力 0.5W + 0.5W (8Ω THD 1.5%)
周波数特性 20~20KHz (-1.0dB)

出力はたったの0.5Wですが、能率86dBのスピーカー(6Ω)で8畳間で十分に聞くことができます。

30A5は中身はオーデイオで有名なEL86/6CW5、テレビの垂直偏向管PL84/15CW5などと同じで、入れ物だけが小さい真空管です。高gmなので、超三結の出力管にもってこいです。A1級増幅の定格で使用すると2.1Wの出力が得られるはずですが、電源トランスの容量が無いのでカソード電流を30mAに制限してる事、自己バイアスによる電圧のかさ上げでプレート電圧が不足している事、出力トランスのインピーダンスが高い事等により、実測では1/4程度になってしまいました。

周波数特性

30A5 freqgraph.PNG

歪率

30A5 distortiongraph.PNG

測定は Panasonic VP-7723B で行いました。

出力波形

30A5 1KHz 0.5W.PNG

回路構成

電源

本来はトランスレス管なので、AC100Vを直接整流等も考えられますが、ラジオのように独立していない(他のオーディオ機器と接続する)、安全性に問題があるので1:1の絶縁トランスを使用します。電圧が低い分、電流は流れる(100mA)ので25VAぐらいのものが欲しいのですが、10VAの次は50VAしか売っていなくて、やむなく10VAにしました。カソード電流は30mAに設定しましたが、電源トランスは相当に熱くなります。20~25VAの絶縁トランスが入手出来るのなら、カソード抵抗を変更してカソード電流を42mAぐらいにすると、もっと出力を稼げると思います。

整流回路は、そんなに高電圧が得られないこともあり、簡易な抵抗によるπ型フィルタとし、電圧が低い事を逆手にとって160V、470uFの大容量のケミコンを投入。

ヒーターは全部シリアルに繋いでも良いですが、35C5、50C5にも交換出来るように、出力管はコンデンサドロップ、帰還管は小型のヒータートランスとしました。出力管を交換する場合は、フィルムコンデンサを交換、又はバイパスするようにします。

初段

バイポーラトランジスタ、2SC2420としまた。バイアスはCRDで供給します。2SK30Aでも大丈夫です。

帰還管

お馴染?12AX7です。12AT7、12AU7はμが小さくて使えません。双三極管なので1球で済ませました。

出力トランス

2W DC40mAのデジットオリジナルです。ハムの混入を避けるために90度捻って取り付けます。一次が5KΩしかないので2.5kΩのものか、センタタップ付、あるいは4Ωのスピーカーをつけると1Wぐらいになるはずです。


調整

カソード電流が30mAぐらいになるように調整します。歪が感じられない、且つ定格内で音が一番大きくなるような電流値を見つけてください。回路図の定数で30mAぐらいにすると、僅かに下側から、ほぼ対称に波形がクリップします。反対側のチャンネルを調整すると、もう反対側も動作点が動く(あまり電源に余裕が無い事、EL34 STCの様に定電圧回路となっていない事)ので、交互に同じ値になるように調整して下さい。

今となっては新品の30A5はありませんし、ラジオ用ということでペアで使われたものも少ないでしょう。結構個体差が現れてくるので、左右で特性が異なることがあります。

試聴

高域は思った程伸びてないのですが、真空管臭さは感じさせません。出力を欲張らない限り変な歪感もありません。オシロで見る限り、発振等もしていないようです。 低域はよく延びていて、コンデンサ結合のトランジスタアンプも凌ぎます。床が震える程の低音が出ます。これは意外でした。

30A5なんて所詮ラジオ用と馬鹿にされてるとかいないとか見かけましたが、高Gmで超三結との相性はよいようです。もう生産されていないのが残念ですが、ラジオ用として(国内向けとして)相当生産されたので、見かけることも多いと思います。無ければ米国仕様の35C5、50C5も使えます。本来はトランスが要らない事がメリットですが、そこそこ電流の流せる絶縁トランスが手に入れば電源の作成も用意です。

大きなメインアンプを入れるのはちよっとという時に、小柄で実力も備えたミニアンプが出来ました。