ゾイド格納庫 展示ルーム Ver.3 |
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どうも、朱美です。 まとまりに欠けていたジャスティスをすっきりさせて、ちょっと細工を追加したやつです。 ジャスティスを投稿してすぐ、って言うのもどうかと思ったのですが、こいつとジャスティスの設定はセットなので一気に出させていただきました。 バトストも、これで一応一段落となってます。(おかげで長めになってしまいましたが) では、設定およびバトストおば↓ 軍用機であったジャスティスを、陸戦およびマッチバトルの為にチューンしなおした機体。 今ではほとんど見られることの無くなった旧ガイロスの技術が使われている貴重な機体で、その出力は現行の大型ゾイドにすら引けを取らない。 そのため、各部にガタが来ていたにもかかわらず、現在のブロックスパーツを多用して、現役だったころの『ジャスティス』に引けを取らないところまで性能を復活させた。 接近格闘戦に特化して作られており、起動した瞬間から絶え間なく蓄積され続ける鉱石エネルギーを用いて、フルパワーのまま長時間の戦闘が可能。 飛行機能をオミットしたため武器に回せるエネルギーが増えたが、今度はそれがあまってしまうようになり、エネルギーを消費しないままだと、加重によりシステムフリーズを起こしてしまう。 つまり、この機体を操るには、常にエネルギーを余らせない配慮と、絶え間ない格闘戦を行える技術が必要なのだ。 主要装備 ヒートマグネイズテイル×1 ヒートマグネイズスピア×2 ヒートマグネイズクロー×4 収束or拡散荷電粒子砲×1 私が、テロリストとの戦いの中に身を投じてから、どれだけの月日が経っただろう。 一日のような気もするし、百年経っているのかもしれない。 今まで、そう、この夜空に浮かぶ星くらい沢山の人や、ものを見てきた。 悲しいこと、苦しいこと、うれしいこと。 それらの全てを思い出すことは、もう出来ないけれど。 私のしてきたことは、この星達のように輝いているだろうか? 『旅の終わり、夢の始まり』 私は今、密林の奥にある、小さな遺跡に来ている。 何でも、ガイロス帝国が、打倒ヘリックのための決戦ゾイドを開発していた場所だそうで、苔むした壁には今もしっかり確認できるほど、生々しい銃弾や爪のあとが残されていた。 ここでも昔、大規模な殺し合いがあったのだろう。 ここにあった何かを守るために戦った人がいて、それを壊すために戦った人がいて、けれどその戦いは、けして後世に残ることは無かった。 「あっけないものだな、時代など・・・」 私はため息一つして、狭いコックピットの中で、伸ばしっぱなしの長髪をかき上げた。 なんにせよ、ここの歴史なんかにさほど興味は無い。 ただ、なじみの共和国軍人の頼みどおり、ここが危険な場所かどうか調査するだけでいいのだ。 昔のことをいくら考えたところで、答えは出ないだろうし、いちいち感傷に浸るガラでもない。 私は歴戦の相棒『ドゥルーガー』に指示を出して、こじんまりとした遺跡の入り口をくぐった。 「広い・・・」 天井が崩れ落ちてこない程度に加減して、瓦礫やら何やらを払いのけて、あっけなく最深部に到達した私。 細くて短い通路を通過した先には、外から見た限りでは想像もつかないほど巨大な空間が広がっていた。 恐らく、背後に立つ岩山をくりぬいて部屋を作ったのだろう、外から見えていたのは入り口だけだったというわけだ。 ま、よく考えてみれば、ガイロス帝国が総力を挙げて死守しようとした大事な物を、堂々と開発してた訳がないわな。 「ここを皆調べるのか・・・ごめんだぞ、そんなの」 ぼやきつつ、先がよく見えないほど暗い広間に足を踏み入れた私。 瞬間。 ぼうっ・・・ いきなり、だだっ広い部屋中が赤い発光ダイオードで照らしあげられた。 「何だ!?」 私はとっさに周りを見回すが、モニターに映るのは床から発せられる赤い光と、それに照らされて爬虫類みたいにぬめぬめと光るチューブの束。 考えたくないが、これはどーやら・・・。 「この遺跡・・・まだ生きてる・・・」 普通だったら考えられないことだ、百年以上前に放置された遺跡が、まだ機能を維持しているなど・・・。 ぎぎぎ・・・ぎーー。 不意に、私の頭上あたりで響く不規則なモーター音。 とっさに私は機体の顔を上げさせて、音の方へ向ける。 そして、視線の先にそびえる、それを見た。 「大佐!これを!」 ノックもなしに、事務所に駆け込んできたのは、彼女の部下、シグナスだった。 「なんだ、騒々しいな」 ただでさえ地声がでかい彼の大声に顔をしかめながら、彼女・・・共和国軍大佐マリア・A・フローレンシアは、椅子に座りなおした。 「大佐の親戚の・・・えーと、あの性格きつい人、あの人に頼んだ遺跡の詳細がわかったんですよ!」 ばんっ、と、シグナスはマリアの机に、持ってきた書類の束を叩きつけながら言った。 「そうか、では調べることも無かったな・・・彼女には無駄足を踏ませたか」 「そうじゃないんですよ、これ!」 シグナスは未だせわしなく、今度は書類をマリアの目の前でひらひらさせた。 そんなに振ったら逆に見えないだろうに。 「落ち着け!何だ、見えないって!手をとめろ!」 マリアは、半ば強引にシグナスの手から書類をもぎ取って、一枚目にざっと目を通してみた。 シグナスが、それですら待ちきれないのかなにやら話し出す。 「あそこは、大戦時、ガイロス帝国の極秘開発場だったんですよ!大佐!、しかも、そこで造っていたのが・・・」 「デスザウラー・・・」 私は、目の前にある古い資料を見て、愕然と言った。 「ええ、しかも、その資料が確かなら、遺跡はまだ生きてる」 がたんっ! 今度はマリアがあわてる番だ。 彼女は椅子から勢いよく立ち上がると、命令を下すべく口を開いた。 しかし。 「マリア、貴女の息子さんがアイちゃんについていったけれど、よかったの?」 いきなり後ろから聞こえてきた、素行不良の部下ミシェルの一言で、勢いついたマリアの思考は完全にフリーズを起こした。 GURAAAAA・・・・ 絶対に耳に悪い金属音。 それは、目の前にそびえ立つ、資料でしか見たことのない魔竜の咆哮だった。 完成しているのは、上半身だけ。 下半身は沢山のコードの束につながっていて、血色に輝く巨大なゾイドコアはほとんどむき出しだった。 けれど、やはり大戦時に無敵時代を築いた魔流である、その風格は、まったく衰えてはいなかった。 「デスザウラーだと・・・どうしろって言うんだこんなもん!」 悪態をつきつつ、私は機体を飛翔させた。 刹那。 きゅがっ! 一瞬まえまで私がいたところに、黄金色の帯が伸びてきて、床を赤く沸騰させた。 「くそっ」 見たところ、こいつには荷電粒子砲以外の射撃兵器はつまれていない。 だが、荷電粒子砲だけでも十分な脅威だ。 一度目の射撃を見たところ、おそらく奴のレーダーはほとんど健在だ、もしまっすぐな通路を通って外に出ようとすれば、まず間違いなく後ろから通路ごと蒸発させられる。 退路は無し、相手のエネルギーはこの設備の全てから供給されているだろうから、コストの高い大口径荷電粒子砲をいくら連発したところで尽きないだろうし、第一、エネルギー切れなぞ待っていたら、先にこっちのエネルギーが底をついてしまう。 逃げ道が無いのなら、やっぱしデスザウラーをぶっ壊すしかないのだが、果たして中型ブロックスでそれが出来るだろうか? スピアでむき出しのコアを突き刺せば、恐らく機能停止に追い込めるだろうが、不用意に近づくのは危険すぎる、何せ両手のクローは健在なのだ、叩き落とされたらそれまで。 だからといって、荷電粒子ビーム砲で何とかできるかといわれれば、少々無理があるだろう。 恐らく、動きを止めなければ発射できないこいつを撃たせてもらえるのは一回が限度だろうし、それで倒せなかったり、はずしたりしようものなら、間髪おかず蒸発させられる。 じゅおっ! 第二撃が来た。 私のすぐ隣の壁が、赤く燃え盛る。 これは・・・一縷の望みをかけての特攻しかないかもしんない。 「くそっ・・・なんか、なんかないのか!?」 私は一度デスザウラーの頭上に急接近してみた。 大口径荷電粒子砲は連発できなかったはず、撃ってすぐなら問題は無い。 デスザウラーが口を開いて、私を噛み砕こう首を伸ばすが、届くほど近くにはいない。 しかし・・・まてよ? このデスザウラー、ちょっとおかしい。 荷電粒子吸入ファンだけでなく、体中から妙な煙が立ち上っていて、しかも、ゾイド全般に見られる滑らかな動きがまるで無い。 まるで、ただの機械のようだ。 しかし、いつまでも近くにいるわけにもいかないので、私は急旋回でその場を離れた。 ぐわっ! 大三撃。 私の背中をかすめるその一撃が通り過ぎた瞬間、妙な音が響いた。 ずるり・・・ぐしゃーん 何か重いものが、床を叩いた音。 「なんだ!?」 私は再び急旋回、デスザウラーを眺めると、その音の正体がすぐにわかった。 さっきまでついていたはずの、デスザウラーの左手がねこそぎもぎ取れて、床に転がっていた。 なるほど・・・つまりコイツは・・・。 「コイツ・・・腐ってる」 そう、このデスザウラーは腐っていた。 停止したまま過ぎた長い年月が、徐々に魔竜の体を食い荒らしたのだ。 しゅんしゅんと湧き上がる煙は、すでに荷電粒子吸入ファンが正常に動いてないことを示し、だんだんと赤く染まってゆく『元・最強』の装甲は、内部で膨らみすぎた熱による自己崩壊が始まっていることを示していた。 このまま放って置けば、恐らく十分と持たずに全ての攻撃機能が崩壊するだろう。 そして、コアも熱にやられ、生き残ってもすぐに腐って、こいつは徐々に、だが確実に死ぬ。 だが。 「それは・・・辛いのだろうな・・・魔竜」 じゅおっ! 四撃目。 私はよけない。 空中で羽ばたき、若干上下するだけ。 しかし、黄金色の帯は、まったく見当違いの方向へ飛んで行き、どこかの壁を穿った。 レーダーが死んだ。 もはや、魔竜は私を知覚することも無い。 「いや、辛かったのか、ずっと」 私は、スピアを展開し、前方に向けた。 距離は十分、一撃で、コアを串刺しに出来る。 奴の右手はまだ健在だ、近距離なら、当たるかもしれない。 叩き落とされて、そしたらどうなるだろう。 魔竜と共に死ぬだろうか? 「それも・・・いい」 私は機体を傾け、最大加速した。 トップスピード、Gが私をシートに押し付ける。 コアにぐんぐん近づく。 後五秒。 四秒。 赤が目の前を覆う。 後三秒。 クローが動いた、絶妙なタイミングで。 悪い方に入った、恐らく、当たる。 叩き落とされるな、これは。そして、魔竜共々苦しんで死ぬ。 いい、か。 その瞬間、私は走馬灯というものを見た。 一生の中でも思い出深かった事柄が、頭の中にフラッシュバックする。 青空の中での空中戦、アレはどこでだったか、スピアを避けたのはあいつが初めてだった。 いつか出会ったあの彼は、まだ私を覚えていてくれるだろうか?『正義の味方』まっすぐな彼の瞳は、今も輝いて見える。 バーサークフューラーを射抜いたときの、あの二人は、まだ戦っているのだろうか。私と同じ目をしていた、あの女性は。 活動を始めたころ、いろんなところで噂になって、戦いを吹っかけられたこともあったっけ。勝ったり、逃げたり、まだ決着のついていない戦いもある。 かごの鳥の彼女は、もう立派な大人になっただろう。あの時は逃げたと罵ったけれど、無いものを追う彼女のまっすぐな瞳がうらやましかった。 戦争孤児施設に立ち寄ったこともあった、自分の行いが正しいことなんだって、そう思いたかったから。 あの生意気な少尉とは・・・また会ったか。生意気に偉くなっていて、いい部下に囲まれていた。 彼女の父は・・・今も変わらないだろうな。治安局の優しいおじさん、彼によく似合う肩書きだ。 そして、母・・・。 母・・・? 私ははっとした。 ここで死んでいる場合じゃない、私は、わたしは・・・。 あのバカ女に一発食らわせるために旅をしていたはずじゃなかったのか!? いや、われながらくだらない理由だけれど。 テロリストを意識して倒すようになったのは、マリアの影響で、本当は・・・。 今ではもう、はっきりと浮かんでこない母の顔。 けれどこれだけは、はっきりと解る。 私はまだ、何も終えちゃいない。 「し・・・死ねるかぁぁぁーーー!」 叫ぶ私。 しかし、クローはすでに目の前。 死は 目前だった。 が。 『止まっちゃだめですよー』 場違いな、間延びした声。 瞬間、金色の光が私のまえの空間を貫き、腐ってもろくなったデスザウラーの右手をねこそぎ焼き払った。 そして。 ずどんっ! 程なく、私のスピアはデスザウラーのコアをぶち抜き、デスザウラーは断末魔の荷電粒子砲と共に、楽に死んだ。 「これは一体・・・」 私はとりあえず、度重なる荷電粒子砲によって崩壊を始めた遺跡から抜け出した。 そして、瓦礫の山と化した遺跡と、デスザウラーの右手を焼き払ったゾイドを交互に見つめた。 『ドゥルーガー』の横に立つ、ブラックカラーのそいつは、どこかで見た気がした。 細部は違うし、翼も無い、だがこれは・・・。 「また、贋作・・・?」 「ちがいますよー」 私の言葉に、隣の黒いゾイドに乗るパイロットが反論してきた。 モニターに移った顔は、年のころなら十代前半。 線の細い顔に、色素の薄い髪、多少目つきがきつい感じだが、かなりかわいい女の子だった。 断っておくが、知り合いにこんな子はいない。 「違う・・・って?」 口調が自然にやわらかくなる。 大人になってしまったのか、自分にもこんな時代があったというのに。 「このゾイドの製作者の名は、アサヒナ・フユミ・・・と、これは旧姓かな?」 「冬・・・美・・・?」 間違えようも無い。 数少ない地球人の生まれで、変わった苗字と名前。 それは私の母、天才技術者フユミ・フローレンシアの元の名だった。 「まだ母が中尉に昇進したばかりのころ・・・って言っても、大事件のときにひとり生き残ったからって理由だけの昇進だったから、母はあんまし納得してなかったみたいだけど、そのころふらりと現れた技術者が製作した機体なのですよ。 そんときは、結局その人が誰だかわからなかったんだけど、最近、母が新しい機体に乗り換えるって言うんで、私にこの機体をくれたんですよ・・・そしたら、オーバーホールしてみてびっくり、コアブロックの内側に名前が彫ってあったんですよー、で、その名前が、フユミ。 母のおばさんで、貴女のお母さん、ね? だからこれ見せたら驚くと思って、内緒で後つけてきたですよー」 あのアホは、どーやらそんなことばっかりして生きているらしい。 『ドゥルーガー』を発展させたものを、『戦争の罪』を背負わせた機体を各地でばら撒き、今の世界の危険性を訴え続けていたのだ。 各地で、『ドゥルーガー』によく似た機体をいくつも見たが、なるほど、そのうちのいくつかは紛れも無く『本物』であったわけだ。 ・・・しかし、となると、この子は誰だ? 母、母といっているが、それはどうやら私の従姉妹に当たる人らしい。 従姉妹? 「仁有!無事かっ!?」 いきなり、別の交信電波が入ってきた。 モニターに映るのは、私の従姉妹、マリア・アナスタシア・フローレンシア。 「おい、マリア。こっちは無事だ、遺跡は崩れたけれど」 私はとりあえず用件だけ伝えた。 ほっと、マリアの顔に安堵の色が浮かぶ。 どうやら、あの少女、仁有も返事をしたようだ。 「協力、感謝する、アイ。後はこっちに任せろ。 このバカ息子をしかる時間も欲しいしな・・・」 「ああ、じゃ、全部任せ・・・」 言いかけて。 私の言葉が止まった。 恐らくあの子は、マリアの子供だ、それはわかった。 解せないのは、その先。 「あの・・・マリア?」 「なんだ?」 「息子・・・?」 私の声は、自分でも分かるくらいひっくり返っていた。 だが、そんな私の様子を見て、何がおかしいのか苦笑するマリア。 「ああ、息子だ、ニウ・フローレンシア・・・どうやら地球人の血が入ると、変わり者が生まれるようだな」 「・・・」 あー、もう。 なんでもいいよ、勝手にしてくれ。 私は、遺跡に近づいてきた機体(ウネンラギア、レッドホーン、レドラー、ゴジュラスギガ、恐らくマリアとその部下か)に道を譲って、変わりもんの親子を残して遺跡を後にした。 時代は、変わる。 移ろって、流れて、止まることなく動き続ける。 いつか、私達が死んでも、その思いは若い世代に、確実に受け継がれてゆく。 私達は、一人じゃない。 遺跡で眠る魔竜のように、忘れられたまま時を過ごすことなど出来ないのだ。 だから、だからこそ。 もっと、沢山の人と知り合おう、沢山の物を見よう。 つけてない決着をつけて、見つけていない人を見つけて、あの場所へもう一度行ってみよう。 今度死が目前に迫ったとき、フラッシュバックする場面を眺めて。 悔いは無いって、そう思えるように。 そして、彼女は、今日も飛ぶ。 沢山の思いを、背負いながら、刻みつけながら。 満天の星空を、高く。 |
YUKI | 2005/04/03 19:47:59 | ||||
ジャスティスに比べるとシンプルですが。ですが、格好良さは変わらずに。 寧ろドラゴンという形で言えば、此方の方がよりそれらしいという所やもな。 さり気なく各所に追加されたキャップなどの灰色がアクセント、で。 こういう作品を拝見させて頂くと塗装もしてみたくなる、のですがー…なかなか。難しく。 ひとまずの区切りを迎えた物語、お疲れ様でしたッ! 感想は…というか、えぇ。かなり万感なので上手く言葉にならないというか。 …それでも彼女は生き続けて。飛び続けて。 何時か目指す所に、探す人に辿り着けますように。 ――人には、想いという名の翼がある筈なのですから。 | |||||