ゾイド格納庫 展示ルーム Ver.3 |
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☆「紅き破壊者と黒き救世主 Episode-After」 Episode :Virgin-white Virgin(純白の乙女) 「――――――」 良く生きているものだ。偏にそれが、彼が意識を取り戻した際に抱いた感想だった。 ま っ し ろ。真っ白、な意識。今まで気を失っていたのだと。 それを理解する事だけにですらも。たっぷりと時間を必要としてしまう。 「でも、まぁ。生きていただけで感謝して欲しいモンね。…手間を取らされたんだし」 「?」 聞き慣れない声だった。こんな場所にはそぐわない――若い女の声。 軋む身体で無理矢理に目を向け…言葉を、飲み込んだ。 それは少なくとも、彼の知っている人間ではなかった。 ネオゼネバスの制服。その袖に手を通しているというその段階で。 「……誰だアンタ」 「アイサツな挨拶ね、それ。イノチの恩人に言う台詞じゃないでしょ」 「――言いたくもなるさ。っていうか…恩人って何だそりゃ」 「そのまんまの意味。”遺児”に遭遇して撃破されてた貴方を回収してあげたのが私」 「――。」 記憶が明瞭になってくる。血の色をした悪魔。心を蝕み続ける悪夢。そして―― 「…機体は。俺の乗ってたゾイドはどうなった?」 「……?あぁ…ソレなら……」 ――はっきり言って。それは、鉄の塊だった。所詮停止してしまった「元」金属生命体。 ひしゃげた四肢は微塵も動かず、大穴の空いた胴体は無惨としか言いようがない。 ”申し訳ありません、Dad.――自力帰還は不可能と判断致します――現状の維持も” ノイズに混じる…いや、ノイズの割合の方が大きなAIの声……それも、直ぐに聞こえなくなった。 「おい、レモン!?ちょっとまて、おいっ!?」 「――スリープに移行したみたいね。っていうか、貴方の機体なんでしょ?見て解んないのかしら」 「…………五月蠅ぇな。俺はあくまでテスト担当だし…誰だって心配すんのは当たり前だ」 「相手は人間でなくAI。それでも?」 「それでも」 「…そっか」 何やら一人で納得しているらしい女性。…それを改めて見直して。 「それより、だ。誰だアンタ……そしてアイツも」 アイツ。あの――血の色。彼女が「遺児」と呼んだアレ、は。 「取り敢えず…あたしはアイツみたいなのを追いかけてる。そして…って、待った」 「…何だよ今度は」 にやり、と人の悪い笑みを浮かべた彼女曰く。 「纏まる話も纏まんないでしょ、こんな外っぱらじゃ。案内して貰おうかしら貴方のトコ―― 元々、その為にわざわざこっち来てたんだからね?」 追われる身では居たくなかった。これまでは、追われる都度それを討ち果たし喰らってきた。 ――だが。「帝国」と呼ばれる側と違う者達まで現れるのは予想外だった。 どこまでいってもあの生物達は、脆弱な癖に数だけがどうしようもなく多いのだ。 だから「ソレ」は苛立った。鬱陶しくて仕方がなかった。 ……討たねばならない。喰らわねばならない。あの、ニンゲンと呼ばれる生物達を。 彼女にはヒルトフントの頭部(コックピット及びAI搭載スペース)のみを回収して貰った。 運ばれていく「彼女」を見送り…グレイは女性へと振り返る。 「もう良いな?改めて聞くが――」 「……”破壊者”ってゾイドを知ってる?」 「…?いや」 何とも、徐な印象を持つその言葉。 「手っ取り早く掻い摘んで教えてあげようっていう努力。…ずっと前に私達の国で作られた機体。 有る意味で――究極の戦闘機械獣だったわ、ソレは。…増殖し、進化し、支配する。 キメラという存在を最も純粋に忠実に最悪に。現実の物にした存在だった。それは――その時は。 大きな事件を残しつつも破壊されたわ。その存在ごと、歴史の闇に葬り去られて――――」 「遺児、って。言ったな……じゃぁ」 「察しが良くて助かるわ。そ…増殖したその一体よ」 確かに此処は帝国との国境に近い。戦争当時は幾つもの戦闘が起きた場所。 それ以降も非合法の密入出国が耐えなかった場所。……混沌とした場所、だ。 「だから…とんでもないのも、そっちから来てたって事なんだな」 「…私達のせいだけじゃないわよ」 ふてくされたような女性の台詞に。だが…どうしても、彼は眉を顰めてしまう。 「俺にとっちゃそうなんだよ。お前達が何時もそうなんだ。……解るか? 確かに上は戦争を終わらせたつもりでいやがるのかもしれない。だが、それは上だけだ。 俺達には……少なくとも、俺には。お前等を悪くないってなんざ言えねぇ。 お前等に奪われた連中は戻ってこない。今日だってそうなりかけたんだからな…」 「別に良いわよ、それでも。…貴方を助けたのはついで、なんだし」 どうにも。ふてくされて聞こえる彼女の言葉。 「それでも、暫くは付き合って貰うんから――文句があるなら、それこそその上の連中に言う事ね。 さっき書類突きつけてやったら、二つ返事でこの基地のパイロット…貴方を貸してくれるって」 「待ちやがれさっきって何時だ」 「貴方が気絶してる間」 「……」 否応無しに確定事項という事らしい…盛大な溜息をついてしまう。 「そうでなくても…アレに僅かでも遭遇して、生きてるヒトってのは貴重だもの。 参考なり何なりになるなら幸いでしょうし……」 「ならないと思うぞ?正直。見ての通り…さんざんにヤられた訳だしな」 そう彼は肩を竦めてみせる…尤も彼女に取ってはどうなのだか知らないのだが。 「まぁ…連中が動き出した、のなら。それでも少しでも手が欲しいのよ」 ……男の言い分はもっともだろう。だから、彼が立ち去ってから彼女は小さな溜息をつく。 戦争は終わった。共和国と帝国は長い長い争いの歴史に終止符を打った――表面上は、でしかないが。 長い間虐げられてきたゼネバスの民の心は、きっと早々変わらない。 一時であれ故郷の大陸から追い落とされすらしたヘリックの民衆も同様だろう。 だから…だから、彼の言い分こそが真実の一端なのだ。 「……彼は怒るでしょうね、余計に。私が…… 、だって。それを教えたら」 小さな小さなヒトリゴト。聞く者の居ないそれは、余りにも不明瞭で―――― アカイイロ。 センケツノイロ。 あの時帝都を焼き尽くしたホノオノイロ。 鮮血の魔獣が撃つ光。長大な雷竜に踏み躙られる友。異形の獅子に引き裂かれる僚機。 だから。 だから、その色は。今でも嫌いだ―――― 「――――ッ!!」 唐突に鳴り響いた警報ですら。その悪夢から目覚めさせてくれるのなら有り難かった。 「っくそ……こっちはまだ節々痛いってのに何が――…… っ。」 目を覆いたくなった。モニターに映し出されるのは全て、紅。 あの――紅い川。紅い蟲。それが、視界を埋めようとしているではないか。 目も眩みそうなその色達に………… 「潜伏を諦めたって事……かしら」 基地の前面。其処に一機の白が舞い降りた。……彼女――アンジェの、機体。 それは竜であり騎士である。究極のキメラ達に立ち向かう故の、キメラの王族。 既に迎撃体制は整いつつあった。彼女と共にやって来た帝国特務部隊、基地の共和国兵士達。 彼らが一斉に己が機獣を起動させ火器を構えモニターへと目を向ける…… …飲み込まれそう、な。その紅い群れに対して。 「敵は全て、”破壊者の遺児”が産みだした群体の無人キメラ。 躊躇も容赦も要らないわ――完膚無きまでに叩き潰して破壊して殲滅なさい。 彼等が進化し続ける事を。破壊者に並ぶ存在へと進化させる事を。これ以上は何としても阻止する為に!」 純白の竜騎士が吼える。その瞬間――――戦いが、始まった。 →Next Episode「Bright-yellow Ghoul」 追記3:登場人物その2 アンジェ・フォルマウン:バフォメットのような「破壊者の遺児」を追う、ネオゼネバス帝国からの使者。 はっきりいって性悪。技術は高いが技量はそれなり、という所。 機体解説 ラインケーニヒ ワイバーン型 「キメラの王」ロードゲイル。その強化案は大戦中から幾つもが発案されていた。 このラインケーニヒもその一つ。指揮能力と空戦(特に対地格闘)能力を高めたセイントゲイルの バリエーション機であり、同時に正式な後継機「アークゲイル」開発におけるテストヘッドでもある。 最大の特徴は飛行形態への変形であり、飛竜としての高い旋回性能はシュトルヒアントラーに比肩する。 また地上では尾部のスピアを腕へと移動、ブレードアンテナをシールドへと転用した格闘戦が可能。 武装 プラズマブレードアンテナ×8 バイトファング×1 AZエクスクロー×4 マグネイズスピア×2 テイルレーザーガン×1 俺式サハリエル。そういうワケでこれが第二弾でした。とはいえ、コンセプト等は全く異なるのですが。 案の定ほぼセイントゲイル×2、だけで出来ていたりしますが…肩部ジョイントで稼いだタッパとか。 とにかくスマートで長身、がコンセプトに。……お陰で写真が大変だったのですが。(がく) ……次は。「キモッ!」事の紅い蟲。みたいです。(・・)ノ |
江戸川次男 | 2004/12/17 06:49:38 | ||||
すごい。はっきり言って美しいです。確かにコンセプトは違いそうですね。 私にはできないような装甲の使い方。そして、ボールジョイントの使い方。勉強になります。胸部は斜め組みですよね。 ヒルトフント壊れちゃいましたか。レモンはとりあえず大丈夫なのですか。続きを読みたいです。 | |||||
YUKI | 2004/12/18 01:17:25 | ||||
江戸川次男様コメント感謝、なのでした。 細すぎる、という意見も出るかと思っております、がー。 何せ裏から見るとジョイントだけな訳ですし。<胴体 胸部の作り方は。最近少しだけマイブームなのでした、斜め。 これだけの工夫ですが、それなりに胸を張ったようなボリュームに…女性の機体ですから。(マテ) …続き。はー……ガンバリマス。(がふぅ) | |||||
【ハサミ揚げ】 | 2004/12/18 22:38:48 | ||||
胸の斜め組みが美しいですな 俺式サハリエルとのことですが武装も射撃系から格闘中心になっていますね 腰の辺のつなぎ方は結構バランスが悪そうですが状態維持できるんですかね? バトスト、この機体がどんな活躍するのか気になりますがそれは次回に持ち越しですか。 赤い虫も楽しみにしてますよ! | |||||
【オート馬人・兄】 | 2004/12/19 00:20:35 | ||||
また綺麗なの来ましたねーぇ。 YUKIさんの作品はどれも色やフォルムが美しくて好きです。 両腕のブレードアンテナも素敵過ぎです。 やはりゲイルタイプの発展型はこうでないと(おぃ) | |||||
【ドラゴン型好き】 | 2004/12/19 13:27:51 | ||||
バトスト、北ー―――――――――――(゜∀゜)―――――――――――――!! 白と赤紫(?)の見事なカラー。 斜め付けされた特徴的なボディ。 アークゲイルの時もそうでしたが、銀ゲ2機+αでここまで作るとは流石としかいいようがなく、 見事な作品です。 しかも、腰が細い。ナイスな細腰です。 う〜ん、抱きつきたい!(ナニ バトストの方は、ようやく帝国登場。 最初にRC見たときはエリスが出るのかー―!?とか思ったんですが、別キャラでしたか。 そろそろ本格的にバフォ君の軍勢とバトルの予感・・・。 | |||||
(略) | 2004/12/20 21:20:46 | ||||
美しいカラーリングの組み方はYUKIさんの専売特許でしょうか(笑)とにかく色が美しいですね。こういうのは苦手なんで見習いたいところです。 胴体のブロック斜め組みによって翼を広げたポーズも綺麗に決まるのが凄いです。一番下の尻尾の槍と翼の盾を構えた姿がまるで騎士の様な格好よさですね。 バトストの方も転換点。赤い虫との激闘?!次は黄色い何かでしょうか(笑) | |||||
YUKI | 2004/12/21 20:29:09 | ||||
コメント感謝せんとす、なのです。 >ハサミ揚げ様 どっちかというと、こう……色だけ。かもしれません。結局。(がくー)<サハリエル どうしても、こう。キメラには格闘のイメージが強いというか何というかで。 腰は意外としっかり保持出来るのでした。やっぱりロドゲの大型ボールジョイントは流石だ、と。 改めて思い知らされてしまったりなー。 >オート馬人・兄様 色はなるたけ合わせるように。それを何時も苦心しているのでした。 ……以前はパーツが少なくて、どうにもそれすら難しかったのですが。 やっぱり、色調統一されるとより格好良くなるのです。 ブレードアンテナの多重連結。これは以前しょっちゅうやっていたネタだったりな。 >ドラゴン型好き様 ふはははっ!そう言わせる事が目的だぁっ!!<細腰 ……げふん、失礼ちょっと廃テンションが。(駄目) その割りに上半身はボリュームを持たせてみたりして。 そこら辺でちょっと異形に見えれば、なのです。 …やはりどこか畸形でこそのキメラ。でしょうから。 で。エリスさんっ。…勝手に人様のキャラを出すのが恐れ多くての外伝ですからっ!(弱) >(略)様 や。貴方様の作品の色合いも好きなのですが、とー。まずそれを。(へこん) ポーズは一重に、ボールジョイントの可動範囲の広さのお陰でしょうか。 斜め後ろからでも真っ直ぐに持ってこれるというのが、ならではという所かと。 槍は差し替えなのですが。これで格好良くなるのなら何より、なのです。 <バトスト …とはいえ。案の定私の書いているモノなので、ぐてぐてしつつ説教じみているような。(かくん) 山吹色…出せるかしらん、ちゃんと。(ばく) | |||||