ゾイド格納庫 展示ルーム Ver.3 |
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S.O.D,外伝 〜THE EXTRA OF S.O.D.〜 ―ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ! バカな、バカな、バカな、バカな!バカな!? 歯の根が噛み合わない。 先ほどから歯と歯を打ち合わせるガチガチという神経を逆撫でする嫌な音がコクピットに響きわたっている。 ガチガチ、うるさい。ガチガチ、うるさい。ガチガチガチ、五月蝿い。ガチガチガチガti,五月蝿い、ウルガチサガチイ、ウルサイガウルチガチガウルサチウルサイウルサイウガチガチガチルサイガチウルガチサイガチガチウルサイガチガチガチgatigatigatigagaurusagagagatititititiurutiugtgt!!!!!!!!! だが、鳴り止まない。 いくら冷静になろうとしても、いくら歯をきつく噛み合わせても。 ガチガチという不快な音は鳴り止まない。 ―どうして、どうして、どうして、どうして!? 「なんでこんなことになった!?」 ―事の起こりは1ヶ月前。 謎の集団―S.O.D.―による無人機暴走行為と無差別大量虐殺が一時沈静化したころだった。 彼は元共和国軍突撃隊のゾイド乗りだった祖父から昔話を聞かされて育った。 もちろん、彼の祖父は実際に戦争に参加したわけではなく、 終戦後の混乱におけるテロやクーデターなどの鎮圧の任務を行っていただけだった。 しかし、まだ幼かった彼にはソレは十分すぎるモノだった。 そんな彼がゾイドに興味をもつのは当然で、 彼は当時民間で唯一大手を振ってゾイドを操れるZOITEC社の警備部に所属することとなった。 彼はそこでメキメキと頭角を現していった。 しかし彼が憧れたのは戦争で、警備などではなかったのだ。 そうして、現実と理想の摩擦に耐えかね自主退社。そのまま酒に溺れる日々が続いた。 無論、彼のところにもS.O.D.からの誘いはきた。 しかし、彼は当時まだZOITECに所属していたし、 どうせクーデターといっても成功するはずはないと考えその誘いを蹴ったのだ。 それを今激しく後悔していた。 S.O.D.によるクーデター(一般にはこのように報道されていた)の成功は、 戦争を望んでいた彼にとって願ってもないチャンスだった。 だが、正規軍所属でもなくZOITEC社の警備部にも所属していない彼にはブラウン管の向こうの戦争を見るだけだった。 そんな生殺しの日々に唐突に終止符が打たれた。 彼のところに、国家特務整備小委員と名乗る団体から接触があったのだ。 その内容は簡単だった。 現在行われているS.O.D.によるテロ行為に対する対抗策として、特務部隊を編成する事となり、 それに参加して欲しいとの事だった。 彼は歓喜した。 この自分にも戦争が、憧れのゾイドによる命の削りあいに参加できる・・・! こうして彼はその団体に参加した。 1ヶ月間の厳しい訓練に耐え、はれて正規のメンバーとなり、今回が始めての任務だった・・・。 目の前にはディスプレイがあった。 どうやらしばらく意識を失っていたらしい。 レーダーにも反応はなく、あたりを見回しても、相変わらず見えるのは鬱蒼と茂る木々だけだった。 ―先頃発見されたS.O.D.の機密基地を襲撃、制圧せよ― 任務としては、簡単な任務のはずだった。 何しろこちらはBLOXを中心とした総勢50機の2個小隊規模の、 一基地を制圧するには贅沢すぎる規模での行軍だったのだ。 なのに・・・。 最初に異変が起こったのは、1〜5分隊にまで分かれての行動中の、定期連絡のときだった。 全5分隊の内、最も後方に位置していた第3分隊からの定期連絡がいつまで経ってもこなかったのだ。 そして、第3分隊を捜索に行った第2分隊までもが消息を絶った。 これは尋常ではない。 なにしろこちらには、各分隊共に広域レーダーを搭載した索敵機が1機づつ同行していたのだ。 そのレ−ダーの目を盗んでの襲撃、それも、一度も敵機遭遇の連絡がなかったことから、 敵は10機ものBLOXを通信を送る暇もなく全滅させたことになる。 そうして、徐々に混乱が広がっていき、 撤退を決定したときには彼の所属する第5分隊以外の部隊が全て消息を絶っていた。 誰もが焦って逃げた。 そうして、仲間の1機が消えているのに気づいたとき、急造の寄せ集め部隊はチリヂリバラバラになった。 「メイデー、メイデー。こちらブラックラック、こちらブラックラック。 現在謎の敵の襲撃に遭っている。救援を求める。繰り返す、救援を、メイデー。」 ・・・ 必死の呼びかけにも答えるものはない。 どうやら、先ほどまで生きていた仲間もやられたらしい・・・。 まさに悪夢だった。 「ハッ、もう俺一人か・・・。」 思わず笑いがこぼれる。 どうやら俺の命運も尽きたらしい。 戦場で、戦争で死ねるなら悔いはない。 そんなふうに思っていたのに・・・。 「こえぇよ。やっぱ死にたくねぇよ母さん・・・。」 目尻に涙がたまり、流すまいと思ったとたんに堰を切ったように涙が溢れ出した。 「こえぇよ・・・。誰か、誰か助けてくれよぉ・・・。まだ、まだ死にたくないんだ・・・。 夢なら、夢なら覚めてくれ・・・。」 草木を踏み倒す不気味な音が響き渡ったのは、もうすぐ夜が明けるころだった。 「ヒィッ!」 慌てて周囲を見渡すが見えるのは相変わらず木々ばかり、レーダーにもなんら反応はない。 しかし、確実に近くに ナニカ がいる。 それは、獲物を狙う肉食獣のように、こちらの様子をじっと見つめている。 「なぁ、もういいだろ。夢なんだろ。全部。 S.O.D.も、あの小委員も全部夢なんだろう。なぁ。 目が覚めたらいつものパブのカウンターの隅っこで寝てんだろう。 いつもみたいにそのまま店出て、ボロアパートまで帰ってまた寝るんだから、早く、早く覚めてくれよぉ・・・。」 目の前は涙で滲み、歯はガチガチと嫌な音を立てて打ち合い、全身が疫病にかかった様にガタガタと震えた。 もう限界だった。 もうこれ以上ここにいたくない。 そんな思いで機体を動かそうとして、ソレが目に入った。 真正面。 木々の合間に、なにか紫色に光るモノがある。 レーダーには何も映っていないのに、そこにはボゥ、っとそれこそ幽霊のようにナニカがいる。 「ヒ、ヒヒヒ。なぁ、もう。いい加減にしてくれよぉ。なぁ。」 ディスプレイの横のエネルギーメータが凄まじい勢いで減少してゆく。 いつのまにか、周囲は紫色の光に埋め尽くされていた。 相変わらずレーダーには何の反応もない。 「なぁ。おい。ヒヒヒ。もう、いい加減にしろって言ってんだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!??」 激情にまかせて機体を紫色の光の真ん中に突撃させる。 その直後、今まで何の反応も示さなかったレーダーに急に反応が現れた。 それは、レーダーモニターを埋め尽くさんばかりの 影影影影影影影影影影影影影影影影影影かげかげかげかげかげかげかげ影影影影影影影影影影影影影影影影影影影影影影影影かげかげかげか影影影影影影影かげかげかげかげかげかげげかげかげかげかげかげかげかげかがげかげかげかげかげかげカゲカゲカゲカゲカゲカゲ影カゲカゲカゲカゲカゲかげかげかげかげかげカゲカゲカゲカゲカゲカカカカカカカカカカカカカカカカカゲケガゲカゲゲゲカカカカゲゲゲゲゲカカカカカッカカカカカカカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!???????????? 「うぅ?ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!??????」 彼の意識は唐突に途絶えた。 薄暗い部屋の中、数人の男女がガラス張りの壁の向こうを見つめている。 その誰もヒトデナシ、誰もが狂っていて、誰もが正常で冷静だった。 彼らの視線の先にはコンベアに乗せられたキメラコアが映っていた。 そのコアはコンベアに乗って運ばれ。 途中で大きく 封印 が開けられ、そこにピンク色と肌色の中間色の皺くちゃの物体を入れていった。 それは、紛うなき、人間の、 脳 。 それらが次々にコアの中に埋め込まれてゆく。 そしてそのコア達はできたそばからキメラに搭載されてゆく。 「うふふ、うつくしい。実にうつくしいなぁ。新しい命の誕生の瞬間は・・・。」 「まったくその通り。いやはや。あの者たちも幸福だろうな。何しろ大好きはゾイドと一緒になったのだから・・・。ククク」 「そうですとも、戦いに餓えた人間どもも、 これで一生、それこそ朽ち果てるまで終わりなき闘争の中で生き続けるのですから・・・。」 ・・・さぁ、まだ余興が始まったばかりだ。 まだまだ、まだまだ足りない、血が!肉が!死が!恐怖が!絶望が! ―狂気の宴はいつぞ果てるや・・・。 [Shadow] S.O.D.の所有するアドバンスドキメラ、アークゲイルの簡易量産期として生産されている無人機(キメラとは別物である)。 この機体には明確な呼称はなく、その戦術からShadow、もしくはGhostと呼ばれている。 主な任務は主であるアークゲイルの護衛、機密基地の警護、奇襲攻撃などである。 特殊塗装の施された漆黒の装甲は高いステルス性を持ち隠密性に優れ、 さらに一定の電流を流すことにより機体のレーダー、通信は使えなくなるが赤外線、ガンマ線、X線など、 ありとあらゆる波長の光線を遮断し、機体を不可視にする。 コレを使用するとあらゆる光線を遮断するために機体の存在する場所が機体の形に黒く抜け落ちて見えるが 夜間などの奇襲には十分すぎる性能を発揮する。 攻撃面でも右手に装備された大型クローは並みのゾイドなら一撃で粉砕するほどの威力がある。 さらにその左手に装備された吸血の盾 ルガト はそのアンテナ部分からナノマシンを散布し、 そのナノマシンが着床した機体のエネルギーをパルス化し 自機に送信することによって敵のエネルギーを奪い自らのエネルギーとする。 ナノマシン散布のさいはステルスシステムが一時的に解除され、アンテナ部分が紫色に発光する。 機体上部に取り付けられたコクピットはダミーであり、実際に操縦することはできない。 非常に優秀な機体であるがルガトの生産コストおよび ルガト使用時の複雑極まりないデータ算出の媒介として人間の脳を使用していることにより 生産数は沈静化までの間に100機に満たなかったようである。 なお、この機体はアークの簡易量産型という位置付けであるが、 本来はアスラとの初期トライアルに敗北したシャドウゲイルが原型機である。 えー、YUKIさんに許可を頂き投稿しましたアークの劣化コピー。 のはずだったんですが、、、原型全くとどめてませんね・・・。 でそのチョンボを埋めるべく、 実際はアークの量産型ではなく実はアスラにトライアルで負けた機体の再利用品でしたみたいな? バトストとかの関係で、 ってゆうかほとんどオリジナルになっているのであえてS.O.D.シリーズは使ってません。 作者の戯言:文長い、もうちょっと短くならないものか。まぁ日々精進なり、喝! |
タイフーン | 2004/07/01 23:31:19 | ||||
![]() | これはYUKI様のアークゲイルの量産型…黒を基調としたボディや吸血の盾“ルガト”もカッコいいではありませんか! 右手に装備した禍々しいクローや、左手に装備した恐怖の盾という構成は、このBLOXの恐ろしさが十分に伝わってくる好材料となっているかと思います。 また設定やストーリーも素晴らしいものが…特殊機能である電子・視覚統合ステルス機能や吸血の盾のナノマシンを利用したエネルギー奪取、そして人の脳を使用したコア…その機体からは組織の恐るべき狂気を感じます。 いやはや、素晴らしい設定です…これは今後にも大きな期待が持てそうです。 素晴らしい作品を有り難うございました! | ||||
YUKI | 2004/07/02 23:43:45 | ||||
![]() | 出たあああああああああああああああああ!? ……えぇっと、まず。何だか執筆をお任せしてしまいたいくらい。 物語の演出と言い新機軸の発想と言い登場人物の壊れっぷりと言い。 とことんまで感服なのでした。 …攻性の盾、という特異な武器も面白く。その展開ギミックも格好良いですし。 ゲイルの強化版だと思わせる各所。また、密かに肩に使われた大腿アーマーなど。いかにもなのです。 むぅ。黒のゲイルを二機持っておられるのは羨ましく。 極められた隠蔽機能やナノマシンなど、いかにも未来のお話的な。 折角70年後を舞台としているのですし。…こういう部分を使わせて頂いても宜しいでしょうか、と。 僭越ながらお伺いしてみるのです。 重ね重ね。このような形の作品を投稿して頂きまして。有り難う御座いますーっ!! | ||||
【ドラゴン型好き】 | 2004/07/03 20:18:45 | ||||
>YUKIさん >タイフーンさん コメントありがとうございます。 >…こういう部分を使わせて頂いても宜しいでしょうか、と。 是非是非。 YUKIさんの作品に登場させていただけるのは嬉しい限りです^^ >人の脳を使用したコア この描写は前々から書いてみたいと思っていたので、 大戦から70年後の狂気に便乗して書かせていただきました。 | |||||