●アリーナとは●

 「アリーナ」は惑星Zi最強の高機動兵器「ZOIDS」を使用した興行戦闘である。
 大戦が終結し小規模な紛争が多発する当時、ゾイドを使用して戦闘を代行する傭兵(一部ではスレイバー(使役者、もしくは戦いに憑りつかれた者という意味の蔑称で呼称される)が多数存在しており、戦後の不安定な情勢下でその存在はかなり大きいものであった。
 彼等の非合法性を認識していた各国政府や有力企業も各地で続発する小規模紛争に対応するには機動力に富んだ彼らの力が不可欠であった。また企業にとって彼らの存在は莫大な利益をもたらす「ZOIDS」という製品の消費者として必要不可欠な存在であったのだ。
 そこで有力組織が合同で傭兵管理組織を設立、彼らに社会的地位と最低限の援助を与え、かつ彼等の思想、行動に「著しく社会に悪影響を及ぼす」事がない限り干渉しないという条件のもと、彼らを事実上管理する体制を整えた。
 さらに同機関は非合法な「依頼」に変わる合法的な「戦場」を彼等に提供しようと考えた。
 それが今日の「アリーナ」である。 

■「アリーナ」の公式ロゴ。
 世界的に有名なデザイナー「KINGU@HIRO」のデザイン。
 これらスタイリッシュな宣伝アイテムが「アリーナ」のエンターテイメント性の確立に大きく貢献した。


■前リーグAブロック決勝の模様。
 実戦さながらのこの「アリーナ」は意外なことに死者はほとんど出ない。中継観戦ゆえ観客は無論のこと、パイロットも機体破損と同時に試合が終了するため悪くて再起不能というのが常である。
 過去の死亡事故は不幸なマシントラブルによるものがほとんどだ。

●戦場と化す大地●
 
 「アリーナ」は「ZOIDS」を使用したエンターテイメントという名の「実戦」である。流れ弾一発でさえ居住区に落ちようものなら惨事は免れない。傭兵という反社会的な必要悪を肯定するための「アリーナ」にそのような事故はあってはならないのだ。
 そこで会場として居住区から遠く離れた地域が選ばれていった。
 当初は無人島や砂漠地帯といった平坦な環境で行われていたがやがて再開発の予定もたたない廃墟や廃棄された軍事施設なども戦場として利用された。(この様な地帯はそのビジュアルから非常に人気があるのだが下層市民などのスラム街が形成されている場合もある。)
 これらの多彩な戦場を転戦することで各ZOIDSの適正地形によるハンディなどが緩和され、実力のみが反映される正統な「評価」が得られるのだ。
 なお、「アリーナ」では抽選で組み分けされたA〜D(場合によってこれ以上に)の「ブロック」に分けられ、その「ブロック」間において各地を転戦しながら総当りでランキングを決定する。これはイベント性の強い「アリーナ」ならではの方式で観客の期待を煽る効果を狙ったものでもあり、公認の賭博商業のシステムとしても機能している。
 決勝リーグ進出の権利を得たZOIDSとそのパイロット(無論サポートチームも)が決勝が行われるデルダロス海上の超大型海上基地「メインベース」に終結するのだ。

 廃墟となったまま再開発も検討されない旧都市や各大陸の高山地帯や砂漠、荒野など、様々な環境化で戦闘が行われる。
 ZOIDSとパイロットはこれら多種多様な環境下で確実に己の力を引き出さねばならない。地形によって戦績が左右されるようではアリーナに立つ資格さえ疑問視されるだろう。

●アリーナに参加するゾイダー●

 世界各地に設定されたフィールドを舞台に、実弾を使用した実戦さながらの戦闘が展開される「アリーナ」は、大戦で疲弊した不安定で鬱屈した社会に新しいゾイドの戦いの姿を描くエンターテイメントとして熱狂を持って迎えられた。また出資者である企業もアリーナの浸透により殺戮兵器「ZOIDS」という自社製品のイメージをエンターテイメントのヒーローに仕立て上げることで自社のイメージアップを図ることに成功した。
 なにより参加するゾイダーも合法的な戦場と莫大な報酬、そして社会的な支持を得られることを知り、次々にアリーナに登録していった。
 「アリーナ」は後に始まる(もうすでにはじまっていたともされるが・・・)歴史上最悪の大戦争「百年戦争」のさなかも続けられ、その上位に君臨するゾイダーは傭兵として依頼されて赴く戦場でも飛びぬけた強さを示していく。
 エンターテイメントであれクライアントの評価資料の一つであれ、「アリーナ」はその者の強さを世界に示す場となっていく。そのうちの一握りの者には伝説のゾイダー「レイヴン」の称号が与えられ、全てのゾイダーの憧れと「恐怖」の対象となるのだ。
 余談ではあるが参加するゾイダーのなかでも特に傭兵が所有するZOIDSのほとんどは大戦時に不法に出回ったジャンク品や破棄された機体を再調整したものである。本来、製品としての戦闘ZOIDSは恐ろしく高価なのだ。だが「アリーナ」が浸透するにつけ企業も自社製品をこのエンターテイメントに積極的に送り出そうとし、かつてでは考えられないほど安価な商品も出回り始めた。さらに企業がスポンサーとなることで出場者に高性能かつ高価な機体を提供するという例も確認されている。

 
 「アリーナ」の上位に君臨する「レイヴン」であるハデスの愛機、エイジスネクスト。
 スポンサー企業である「サイレン」の代名詞的な製品である本機はさらにチューニングや機体整備も「アリーナ」のスタッフではなく同社派遣スタッフが専属で行っておりあらゆる戦場で最高水準のパフォーマンスを発揮する。
 装備されるパーツも市場ではほとんど流通しない高価なパーツで一個人が所有できるシロモノではない。
 サイレンからこれらを託されるハデスがいかに高く評価されているかわかる。